北田卓史展『想い出の空飛ぶタクシー』
【武蔵野市立吉祥寺美術館】

北田卓史展『想い出の空飛ぶタクシー』遺されたアトリエの扉を開けて

童画家・北田卓史(1921‐1992)で想い出すのは、小学校の教科書にも掲載された短編童話『白いぼうし』が収載された「車のいろは空のいろ」シリーズでしょう。 “タクシー運転手の松井さん”と不思議な乗客たちの物語は、1968年刊行以降、世代を超えて広く親しまれています。童話作家・あまんきみこ(1931‐)の傑作であり、児童書の挿絵画家・北田卓史の名をも決定付けました。また、『チョコレート戦争』(1965年)、『さとるのじてんしゃ』(1968年)などの挿絵も手掛けています。
しかし、北田卓史の魅力は、実は児童書にとどまりません。特に、1950年代末~70年代にかけて、数多くの月刊保育絵本の仕事を数多く担当。その鮮やかな色彩と卓越したデザイン力、ダイナミックな構図は、従来のイメージを覆すような驚きに満ちています。幼児教育のために保育の現場で求められ、毎月刊行される月刊保育絵本は、発達段階に合わせたテーマが多く、北田も “おはなし”のみならず、“四季の行事”や“生活習慣”、“動物”、“童謡”に至るまで、さまざまな求めに応じて描いています。特に、「東京工業専修学校」を卒業後、機械技術者として働いた経験も活かし、車や潜水艦、飛行機やロケットなど、細部描写にこだわった “乗りもの”は、当時の子どもたちの心を掴みました。
本展では、北田の没後、アトリエに遺され、長年遺族が管理していた原画のなかから、約200点を展示。初公開となる、各出版社刊行の月刊保育絵本に掲載された、“幻の原画”を中心に紹介します。北田が描く、日に焼けた肌と黒目だけで魅せる豊かな表情の子どもたちに、私たちはどうしてこんなにも惹きつけられるのか…。さぁ、北田卓史の世界を心ゆくまでお楽しみください。

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  © 2025 Nobuya Kitada, 武蔵野市立吉祥寺美術館

開催日

2025年月920日(土)~113日(月・祝)
※休館日:924日(水)/1029日(水)

開館時間

10時00分~19時30分

入館料

300円 (中高生100円、小学生以下・65歳以上・障がい者の方は無料)

開催場所

武蔵野市立吉祥寺美術館
 (〒180-0004 東京都 武蔵野市 吉祥寺本町 1-8-16 コピス吉祥寺A館7階)
電話 : 0422-22-0385

関連イベント

トークショー

(1)「童画家・北田卓史が描く世界は、なぜ私たちをこんなにも惹きつけるのか?」
故・北田卓史のご子息・北田暢也氏と月刊保育絵本の編集者とのクロストーク!
日時:2025年10月5日(日) 14時00分~15時30分(予定)

(2)「童画家・北田卓史が描く世界は、なぜ私たちをこんなにも惹きつけるのか?」
トムズボックスの土井章史氏、本展のポスター、図録のデザインを手掛けた名久井直子氏が登場!
日時:2025年10月12日(日) 14時00分~15時30分(予定)

場所:「美術館音楽室」
定員:各70名(申し込み先着順)

◎両日とも9月15日(月・祝)10:00より、電話(0422⁻22⁻0385)のみで受付開始。
 ただし、1回の電話につき2名まで受付可。

※詳細はこちらをご確認ください → 武蔵野市立吉祥寺美術館サイト

ポスター

 

主催・協力

主催:武蔵野市立吉祥寺美術館 <(公財)武蔵野文化生涯学習事業団>
協力: ポプラ社・Gakken SEED・小峰書店・至光社・世界文化ワンダーグループ・チャイルド本社・ひかりのくに・フレーベル館・理論社・EHONS(丸善ジュンク堂書店)

 

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