安養寺<布袋尊>
岸光山吉祥院安養寺は、真言宗豊山派に属する密教寺で、本尊は不動明王、総本山は奈良県桜井市にある長谷寺である。口伝によると、開山は寛永元年(1624)、開基は元小田原城主北条氏の四十八将の一人であった布施三河守弾正左右衛門康貞の末裔で布施弾正といい、入道して深忍法印と号したと伝えられている。
当時、武蔵国牟礼野といわれたこの地で提灯測量を行ない、わずかな高低を見定めて最も高い場所を中心と定め、そこに不動明王を安置して庵を構えたとされており、現在でも同じ位置に本尊不動明王を祀っている。
安養寺は「多摩新四国八十八ヶ所札所第一番」の霊場で、毎年春から夏にかけて大勢の巡礼者が訪ねる。
門前には寛文5年(1665)の庚申供養塔(市有形民俗文化財)や六地蔵がある。
梵鐘(市有形文化財)は表面の刻銘や龍頭の二本の角などから江戸時代に作られたものとされる。大晦日には除夜の鐘をつく人で賑わう。