武蔵野市と小麦の関係
武蔵野の台地は、その土質や水利の関係で、水田には向かずに畑作が中心でした。明治時代に栽培されていた作物は大麦と小麦が多く、中でも小麦の作付面積は多くを占めていました。農家の人たちは、麦作りをしながら、中作(なかさく)と称して、その間の畝に野菜や豆類を植え、畑も人も休む間もなく働いていたそうです。
大麦は、ほとんどが自家用で、「大麦7:米3」の割合で混ぜあわせ、昭和30年頃までは主食となっていました。一方、小麦は、農家の人たちにとって、貴重な換金作物でした。また、お祝い事などがあるときは、小麦粉を原料としたうどんやおまんじゅうを作って食べたり、ふるまったりしていました。
武蔵野に住む人たちにとって、大切な作物であり、生活の糧でもありました。
現在、武蔵野市産の小麦は市内農家で栽培しています。武蔵野市で収穫された小麦は、古くからの武蔵野の食文化を伝承した「武蔵野地粉うどん」として生まれ変わります。
武蔵野商工会議所・JA東京むさし武蔵野支店では、武蔵野地粉うどんに関連する取り組みを、食育や地産地消に活かそうと、市内の小学生に農業体験の場を提供しています。
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武蔵野産小麦の栽培時期と主な栽培方法
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
トラクターで耕し、土の塊が無いように細かく砕きます。また土壌中の養分補給とPHが中性から弱アルカリ性になるよう酸度矯正します。
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
種植機「ごんべえ」を使用して、種を蒔きます。麦踏みや収穫をうまく行うためには、まっすぐに一定の量で適量づつ蒔いていくことが大切です。
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
本葉が3枚程度出た頃に1度、その後茎立ちまでに10日程度開けて1〜2回行います。
●麦踏みの効果
・分蘖(ぶんけつ)を進める。
・茎と根を強くし、土と根を密着させて生長をよくする。
・土入れは、雑草防除や排水向上、倒伏防止などに効果あり。
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10月下旬蒔いた肥料の効力が切れるので、肥料を追加します。
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バインダーを使用して刈り取りを行います。刈取り後は麦を「はざ」に掛けて天日に干し乾燥させます。これを「はざかけ」といいます。
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小麦が乾燥したら、脱穀機を使用して、刈り取った麦ワラから、穀粒(モミ)だけを取り除きます。
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収穫した小麦を製粉事業者に納品し、小麦粉にします。